カスティーリャ・ラ・マンチャ
歴史の織りなす街々
カステーリャ・ラ・マンチャは、マドリードの南に広がる台地です。何世紀にもわたる歴史の中で古代イベリア族やローマ人、西ゴート族、イスラム教徒、そしてキリスト教徒がその痕跡を残してきました。山や谷、平野、いたる所に発見が満ちています。この地方の村々には、マヨール広場と呼ばれる村の中心広場やしっくい塗りの壁、藍色の礎石、美しい教会、古い修道院など昔ながらの町並みが今も残されています。また、この地域はスペイの70%を占めているのメセタ平原の上にあり、メセタとはスペイン語でテーブルという言葉から来ているそうで、どこまでも続く赤土の高原地帯です。
また「マンチャ」というのはアラビア語で「乾いた土地」ということで、雨の少ない地域です。「マンチャ」の名はアラビア語の「乾いた土地」に由来するとか。風が強く標高の高い地域で、あのミゲル・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』の舞台のイメージが強いかと思います。川が削った美しい峡谷、広大な平野。そこに広がるブドウ畑やオリーブ林、小麦畑。そこここに点在する城や要塞、そして風車、ひまわり。ある意味では、スペインらしい地域と言えるかもしれません。サンチョパンサになった気分で旅をしてみてはいかがでしょうか。
シグエンサ(Sigüenza)
マドリーから北東へ140kmほど。鉄道を利用できるので、比較的行きやすい街です。小高い丘の上に赤茶けたレンガ色のシグエンサの街が車窓から見えてくると、何やらワクワクする気持ちが押さえきれなくなります。レンフェ(スペイン国鉄)の駅は、市の中心部から少し離れていますが、駅前から続く並木道の向こうに古びた中世の香りのする街が見えてきます。
マヨール広場を囲む美しい回廊
迷路のように路地が入り組んださほど広くない旧市街は、数時間もあれば一回りしてしまいます。中心には15世紀末に完成したというカテドラルとマヨール広場があります。
このマヨール広場を取り囲むように回廊がめぐらされ、夏の暑い陽射しをさえぎってくれます。時間のある方はこの広場にあるバルで一休みしてはどうでしょうか。
中世へのタイムスリップ!
そしてもう一つの見所は、小高い丘の上にある、かつての要塞跡を修復したパラドールでしょう。スペインのパラドールの中でもお勧めと思います。この堂々とした古城も荒れ果てた時期があったようですが、単に史跡として改修するだけでなく、国営ホテルとして活用するという発想はすばらしいと思います。
宿泊しなくても館内のレストランは利用できるので、是非、見学してみて下さい。中世そのままの風格と栄華の跡を楽しめることでしょう。 頑張ればマドリーから日帰りもできる街ですが、是非、1泊して中世へタイムスリップしてみてはいかがでしょうか。
アルマグロ(Almagro)
アルマグロの街は、マドリーから180kmほど南にあります。AVE(アベ)-スペイン国鉄(RENFE)が運行する高速鉄道-も停車する、シウダーレアル(Ciudad Real)経由で訪れることができます。タブラス・デ・ダイミエル国立公園(Parque Nacional Tablas de Daimiel)を訪れることが目的でしが、ホテルの観光ガイドブックを見ていたら、近くに、美しい街、アルマグロがあることに気がつき、マドリーへ戻る前に訪れました。ちなみに、アルマグロの名前はイスラム語のAlmagrib(日没)に由来すし、それはラ・マンチャの大地が日没時のように赤いことから名づけられたのではないかという説があるようです。
感じの良いタクシー運転手
ダイミエルの街から鉄道でも行けるのですが、タクシーに乗りました。この地方では、メーターがなく、○○街から○○街までの運賃が公定で決められているということでした。 途中、若い運転手がいろいろと話をしてくれましたが、4歳の女の子がいること。
そういう話をしていると無線で、奥さんから、仕事に行くから子供みてくれない?彼は仕事中だと答えていたようだです。のどかな時を過ごし、一路、アルマグロへと向かいました。レンフェが一部ストをやっているような情報が入り、マドリーまで帰るならと、一度、駅によってくれました。結果的には、タクシーにして正解。スペイン人にしては、自己主張せず、言葉すくなに話す、気持ちの良い青年でした。 アルマグロの街のマヨール広場に近いところで降ろしてくれました。車を降りた近くに市が開かれ、洋服、靴、お菓子、香辛料などいろいろな店が出ています。日本ではあまりみかけなくなりましたが、こういう雰囲気は、より旅に来た気分になりますし、コンビニやスーパーでの無機質な買い物とは違い、店員さんとのちょっとしたやりとりが心を和ませます。
スペインで最も美しいマヨール広場
青空の下、町役場とそれを取り囲む3層の建物がマヨール広場を引き立てています。その周辺には立派な紋章を掲げた貴族の館が多く存在し、中世以来の歴史を感じることができる街です。特に濃い緑の木組みと白壁のコントラストがとても美しく、何枚も写真に収めました。
また、この街は、演劇の黄金世紀の芝居小屋や演劇博物館がありますが、残念ながら閉まっていました。長い昼休みに入ってしまったようです。下調べもせずに急に訪れたのだからいたし方ないですが、また機会があったら、パラドールにでも泊まりながら訪れてみたい街です。