カタルーニャ(Cataluña)
芸術・文化の香る街々
カタルーニャは、イベリア半島の北東部にあり、フランスに近いエリアです。地理的に中央部(マドリー)から遠いこと、かつて「カタルーニャ」という独立国であったこともあり、今でもスペインという枠でイメージするのではなく、「別の国」と考えた方がいいかもしれません。 昔から貿易港として発展してきたカタルーニャは、バルセロナを中心に、金融と重工業の先進地帯で、観光、製薬業界、車メーカーなどが盛んで、スペイン国内の生産の約20%を占めているという豊かな「国」です。 このように、独自の歴史を歩んできたことから、文化も個性に富んだものになっています。人々も、世界に開かれた土地柄もあり異質なものに対して柔軟な姿勢を持っているため、様々な要素を取り入れ、「カタルーニャ文化」は形成されてきたようです。言葉にしろ、料理にしろ、建築にしろ、何かにつけて「カタルーニャ」という形容詞をつけられて語られる程、こだわりの「国」と思っていただいてもいいかも知れません。 例えば、カタルーニャから輩出された有名な「芸術家」を並べてみても、ガウディ、ダリ、ミロ、パウロ・カザルス、いずれもその「独創性」と「先進性」で知られた芸術家ばかりです。 日本の都市と大胆に比較した言い方があります。江戸は「マドリー」、「バルセロナ」は大阪。カタルーニャ人は、「ケチ」「働き者」「真面目」。「宵越しの金は持たない」なんてことはないようです。スペイン人=ラテン的なイメージがあると思いますが、カタルーニャの方はそんな性格はあまり持ち合わせていないようです。
フィゲーラス(Figeres)
カタルーニャ地方、バルセロナの北に位置する小さな街フィゲーラスは、ダリの生まれ故郷です。ここにもともとあった劇場が、ダリ美術館となっています。バルセロナからも日帰りで楽しめる距離です。カタルーニャ文化を語るには欠かせない、サルバドール・ダリを体感していただきたいと思います。
サルバドール・ダリの街
フィゲーラス・ヴィラファント(vilafant)駅から徒歩約20分で美術館に到着。入場券は、現地の窓口でも買えますが、週末など混雑が予想される場合は事前のオンライン予約がお勧めです。 写真にあるように「ダリ劇場美術館」を案内する看板が、町のあちこちに立ててあり、迷わず「ダリ劇場美術館」へ行くことができます。美術館のドームの形がデザインされています。また、街の広場には、トリッキーなダリをモチーフにしたモニュメントもあり、美術館に着くまでの間に何やらワクワクさせてくれる演出も見逃せません。なお、バルセロナから乗車したフランス・モンペリエ行の特急電車はTalgoでした。この車両の特徴は、車輪が一軸独立であるという特徴を持っています。つまり左右の車輪をつなぐ車軸が存在せず、車輪の間に通路などを設けるための空間が確保できるため、車高が非常に低くなっています。背景としては、広軌(1668mm)を採用しているため、曲線区間において内側と外側のレール長の差が、狭軌や標準軌のそれと比べて大きいこと、またスペイン国鉄の路線には山岳路線が多いことが上げられます。必然的に曲線区間が多く曲線半径も小さいことから、左右の車輪が同じ速度で回転する通常の台車では、曲線通過時に車輪とレールの摩擦が大きくなり車輪が磨耗しやすいという理由から開発された車両です。
ダリ劇場美術館
この美術館は1974年にオープンしました。元の劇場は1849年に建てられた新古典様式の建物で、市民戦争の時に火をつけられ廃墟となっていました。ダリが洗礼を受けた教会の真向かいにあり、また、ダリの絵が最初に展示されたのがこの劇場のロビーだったことが、ダリが美術館へと改装した背景のようです。 建築家は、エミリオ・ペレス・ピニェロ。ダリ本人もヘルメットをかぶって指揮をしたと伝わっており、完成時にフィゲーラス市からダリへ金メダルが授与されたとのこと。 中庭にはアル・カポネの所有だったキャデラックを使った「雨降りタクシー」が置かれ、ダリの代表作でもある、トリッキーな絵画も沢山展示されていて楽しめます。是非、たっぷり時間をとって鑑賞してもらいたい美術館です。また、館内にはダリのお墓がありここで安らかに眠っています。美術館とお墓という組み合わせは、異邦人にはちょっと理解できなかったことを書き添えておきたいと思います。