のんびりと食事を楽しむ人々
夏の夜の出来事 – マラガの街でのできごと
今、振り返ると笑い話ですが、最初にスペインを旅行した時の夏の夜の出来事です。アンダルシアのマラガ町で、ピカソの生家やらの一通りの観光も終わって時計をみたら6時を過ぎてました。暑い中、少々歩き疲れたし、お腹も空いてきたので、何かおいしいものでも食べようとガイドブックを広げて、今日の夕食の場所を決めました。
少々離れていたのでタクシーをつかまえて、レストランの住所を指差して「ポルファボール-por favor-お願いします。」と言いました。何やらスペイン語で話してくれたのですが、全く分からず、首を傾げていると、あきらめたように走り出しまた。レストランの前で、料金を払うと、また、何か一生懸命話かけているのですが、分からないので、「グラスシャス-gacias-ありがとう。」というと両手を上に上げて、立ち去っていきました。
レストランを探して
しかし、驚いたことに、レストランの窓は閉ざされ、入り口の照明も消えています。(日暮れは遅くまだ明るい時間帯ですが)。ドアを開けようと思った
のですが、鍵がかかってます。あ~あ今日は休みの日なんだと直感しました。さっきのタクシーの運ちゃんはそれを教えてくれようとしていたのだと勝手に思い込みました。仕方がないので、海岸線の街をブラブラ歩き、1軒のバルを見つけ入りました。生ビール(la canã )を飲みながら気のよさそうな店の主人らしき人に、会話集をみながら「おいしいレストランを紹介して?」と聞いて見ました。なんと、さっきの店を紹介してくれるではないですか。その店は「休み」だと単語を調べていうと「No,No・・・・・・」としゃべり続けます。
ガラガラの店内???
この店でタパスをつまりながら飲むのいいなと思ったのですが、食い意地のはっている人間としては、せっかく海辺にきてシーフード(el marisco)を食べないのもったいないと、また、街をぷらつくことにしました。時計をみると8時少し前。やっと夕暮れ時の景色になってきました。遠くの方を見ると先ほどのレストランに明るくなっているような気がします。近づくと、窓からは明かりが、そして、玄関に照明が入っているではありませんか。そうか、休みではなく、開店してなかったのか。とやっと理解できました。
勢いこんで入り口のドアを開けるて中に入ると、なんと、広い店内には人っ子一人いなではありませんか。ウエイターがやってきて、なにやら、説明してくれてますが、よく分かりません。とにかく、食べたいのだと身振り、手振りで伝えると、ショウガナイナ~と大げさに両手をあげて、店内がいいのか、外のテラスがいいのかと指差すので、テラスがいいというと、席を用意してくれました。正直、なんと繁盛していない店なんだと思いました。
夜9時からのディナータイム
テラス席からは夕暮れの海が臨め、心地良い風が吹いてきます。なかなか、おいしいなと思いながら、運ばれてくる料理を堪能しましたが、相変わらず、客の姿は見かけません。そうこうしているうちに、一組、また一組と、ちょっとシャレた雰囲気に着替えた、カップルや家族連れがきはじめました。10時近くになると、もう満席。賑やかなレストランに変身しました。
後で分かったことですが、この店の開店は、夜9時から。夜更かしの国だとは聞いてましたが、頭で理解していても、7時くらいになればレストランは開いているだろうと勝手に解釈してはいけないこと、そして、スペインの人々にとって、夜、家族や仲間と楽しいひと時(といっても夜中まで)を過ごすことが人生にとって大切なことであり、明日のことを今から考えてもしょうがないというラテン気質の国なのだという、貴重な体験をした夜でした。