生活の一部となっているバル
スペイン人にとって、バルのない生活は考えられないでしょう。朝の一杯のコーヒーからはじまり、友人や恋人との待ち合わせ、仕事の打ち合わせ、小腹がすいた時の軽食、時間をもてあました時の暇つぶし、夕方からは、それこそ、みんなで集まって、ビールやワインを飲みながら、ガヤガヤと尽きることのないおしゃべりに興じ、夜10時を過ぎたころから、何か食べに行こうか、踊りに行こうか、あるいは、別のバルへと・・・
あまり働かないといわれるスペインにおいて、このバルで働く人は、本当に良く動きまわり、お客さんの注文に見事に答えながら、気持ちのいいサービスをしてくれます。旅行者にとっても、トイレを借りたり、観光地巡りで疲れた時の休息に、お腹がすけばタパスを頼んでランチ代りにと重宝します。
そして、一番の思い出になるのは、バルに入り、狭い空間でのスペイン人の喧噪にも近い雰囲気の中で、ワインやビールとともに、おいしいタパスを食べることは、異邦人の私達にも楽しく愉快な経験を間違いなくもたらしてくれると思います。田舎町のバルで、どこから来たのかと聞かれて、日本だと答えて、何やら乾杯の合唱になりワインをご馳走になったりした思い出もあります。
しかし、最初はその店の床の汚さに驚かされました。エビの頭などの食べ物、紙ナフキン、たばこの吸い殻（灰皿がない店が多いです。いわば床が灰皿代わり？）などをどんどん床に捨てていくのです。逆に床が汚い店のタパスはおいしいという風に理解した方がよさそうです。とはいえ最近のスペインもＥＵへの加盟等もあり、次第にそんな風物もなくなりつつあるようなことを耳にすると、ヨーロッパの各国の生活文化の平準化をうながすようなことではなく、さらに個々の国が個性を発揮してほしいと願うばかりです。
スペインを肌で感じたければバルに行こう！
バルで語らう若者たち
タパスの海老の殻やネフキンなどが捨てられるバルの床
夏は広場や歩道が心地よい語らいの場となる