カンタブリア
美しい自然とともに
カンタブリア地方は「緑のスペイン」と呼ばれる中央にあります。この名称は、イベリア半島中央の広大なメセタ高原と大西洋の一角にあるカンタブリア海とにはさまれ、スペインでは珍しく温暖で湿潤な帯状地帯の総称です。起伏に富んだ土地では放牧、果樹園などが営まれ、海岸はリアス式で入り江が陸地に奥深く食い込んでいます。スペインと言うとどちらかと言えば乾燥したイメージが強いですが、カンタブリア地方は入り江と山脈、漁村の組み合わせが美しい本当に緑の多い地方です。
昔、住民は「ビスカヤ」と呼ばれ、海に山にとその勇猛さで知られていました。仕事における粘り強さも特徴のひとつで、海岸沿いの港町ではかって鯨漁で栄えたとか。また、原始時代のアルタミラ洞窟壁画はあまりにも有名ですが、ハイキングなどの山岳リゾート、カンタブリア海岸での海岸リゾートなどが魅力です。
そんな美しいカンタブリアで、スペインの休日を過ごされてはどうでしょうか。
サンティジャーナ・デル・マル(Santillana del Mar)
何かの本で「スペインで一番美しい村」といった表現で紹介されていた記憶から一度は訪れてみたいと思っていたサンティジャーナ・デル・マル。確かに、中世にタイムスリップしたように思えるほど見事なまでに保存修景されていますが、何せ、観光客が多く、やや興ざめしてしまいました。街の細いメインストリートには、ドイツやフランスからの観光客が多く、多くの建物は、土産物屋やレストランに利用されています。
つつましく美しいロマネスク様式の教会
街巡りをしていると小さな広場、アイストップとなる美しい建物、そして路地へと続く演出が心にくいばかりです。そして、街の象徴となっているロマネスク様式の参事会教会に出ると、この街の古い歴史が思い浮かばれます。スペイン北部にはロマネスク様式の教会などを多く見かけます。
ゴシック様式の建造物も見るものの心を感動させますが、どうしてもその壮大さに身構える必要が出てきます。それに対し、ロマネスク様式は、つつましく簡素で、凡人達も分け隔てなく受け入れてくれるような心地よさが好きです。
世界最古と言われる牛の壁画で有名なアルタミーラ(Altamira)
翌朝、朝食前に再び写真を撮りに行ったところ、今度は、掃除人と猫くらいにしかお目にかかれず、ちょっとホットした気分になりました。何故こんな小さな街に多くの観光客が訪れるのかちょっと不思議でしたが、観光マップをよくみてみると、なんと、あの世界最古といわれる牛の壁画で有名なアルタミーラの洞窟が近くにあるではないですか。ようやく、その理由が分かったような気がしました。
そのアルタミーラの洞窟ですが、残念ながら、本物の遺跡は、多くの観光客の出入りのため保存状態が悪くなり、現在は、寸分違わず状態で見事に復元された洞窟に、定員性でガイドさんが案内してくれます。もちろん予約制ですので、時間に余裕を持って訪れた方が良いと思います。